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2/14 ギャラリー双 新年句会

 

 

 

 

本年始めての句会です。

ギャラリー双にて、食べ物を持ち寄り新年会を兼ねて集まりました。ご馳走が食卓を埋め尽くしました。

 

今回の題は自分の持参した食べ物にちなんで一句。

そして他の人の持ってきた食べ物にちなんで一句です。

 

食べ物を詠んだ句は写生句、あるいはその食材や作ってくれた人への挨拶句の要素が強いです。いずれも漫然と食べていても作れないのでよく吟味することになります。吟味は吟行に通じます。

 

写生句には写生句の難しさがあります。

目で見たものや味を言葉にするというのは、情報の形を別のものに変換する訳ですから「ただそのまま描写する」のは本来、不可能なことともいえます。

その不可能をどうにかやろうとしていると、写生に徹し主観を削ぎ落としても最後に残るその人らしさが現れてきます。それが本当の個性だと思います。

 

挨拶句に関しては以前も触れましたが、挨拶は「礼」の一種で「礼」は儒教では魔術的側面を持っています。

礼は対象に心を開き受容しあう術です。窮鳥懐に入らば猟師これを助くということわざがありますが、心が通じた時、物事は隠されていた面を見せます。そのとき主体と客体、猟師と鳥は同じものになります。

 

こうしてみると、写生句であれ挨拶句であれ、最終的には自分自身に巡りあい、同時に世界と自分のつながりを取り戻す意味合いがあるように感じます。単なる料理のキャッチコピーにならないことが大事です。

 

 

 

 旬の味きょうはいいかとはらさすり ピエール

 

料理全体、食卓の様子を詠んだ句です。今日はダイエットを気にするのをやめようという句です。

私もこの日は夕飯がいらなかったです。侘びさびを俳味とするならこんなに贅沢をしていいのだろうか、という疑問もありますが、忙中おのずと閑ありと言うように、贅中おのずと侘びあり、というのもこじつけられるかもしれません。

 

 

 

 シュウパウロウ時間かけすぎ過保護かな 九

 

九さん、夢坊人さんがもってきてくれた鹿肉の煮込みの句です。シュウパウロウはモンゴル料理だそうです。

香草が効いており、汁を吸い込んだ大根とじゃがいも、しっとりとしたお肉がとてもおいしかったです。

この日のために時間をかけていただいたことを感謝します。

 

 獺祭を着るも飲まない護身術 夢坊人

 

俳句で獺祭(だっさい)というと正岡子規の獺祭忌を連想しますが関係なく、日本酒の方です。

夢坊人さんが持ってきてくれました。スパークリングでしゃれていますが吟醸香がちゃんと日本酒であることを主張していて不思議なお酒でした。自家製のらっきょうと合わせていただきました。

句意は、夢坊人さんは小金井の護身術教室での生徒さんでもあるので、私が獺祭のロゴのTシャツを着ていたのにかけた句です。これも挨拶句ですね。ありがとうございます。

 

 

 

 

 海の波踊りおどってタコサラダ 九

 

写真奥のタコのサラダの句です。慧さんが用意してくれました。

野菜とタコの食感の違いが面白く、ワインによく合います。

食卓という動きのない場所で、ここまでダイナミックな句が生まれるということに感心しました。

 

 プチトマト赤黄並び牡蠣深し 慧

 

写真手前、牡蠣のオイル漬けの句です。トマトの明と牡蠣の暗のコントラストの美しさを詠んだ句です。

牡蠣をそのまま「暗い」と表現すると美味しくなさそうに思えるので「深い」という言葉を選んでますが「牡蠣が深い」は意味が取りにくいという写生句の難しさが出ています。上手い言い換えがないか全員で検討してみましたが良い案が出ませんでした。私も力不足です。すみません。

 

 

 

 本場より口になじむは郷の味 ピエール

 

ピエールさんの持ってきたイタリアの生ハムと鎌倉ハムの句です。

鎌倉ハムの方が好評だったということですが、私は両方美味しかったです。

 

 生ハムに似たりとも思ふ猫の耳 葩

 

巻頭の写真はギャラリー双の猫、大ちゃんですが、この日は窓の外からご飯をもらいに猫のお客さんが二匹やってきました。

ちなみに鎌倉ハムは葩さんがピエールさんにリクエストしたもってきてもらったそうです。

好みですが「思ふ」といった文語や旧かなは深い意図無くなんとなくかっこいい、くらいの感じで使うと逆にノイズになるので私は避けます。

 

 

 

 

 泥の中里いも掘って笑顔あり 

 

九さんが掘ってきてくれた里芋と豚肉の煮物の句です。芋車という川の流れを利用した水車のような仕掛けで皮をむいたそうです。どうしてこれで身が削られずに皮だけがこんなに綺麗に剥けるのか、一度見てみたいものです。

何気なく食べているものもこうした背景のドラマを知るとありがたみが増します。

 

 

 

 はふはふと熱々ピザを食らふ我 夢坊人

 

葩さんが生地にチーズと具を載せ、ギャラリー双のオーブンで焼いたピザの句です。素直な句ですね。

これも「食らふ」は文語ですが「はふはふ」と韻を踏んでいるので使う意味はあると思います。

 

 冬日向猫もチーズも伸びてゆく 史織

 

私の句です。そのまんま。

 

 梅まつり我が家の味を宅配便 葩

 

なぜ急に梅まつりかというと近所の小金井公園でやっていたから、ということで歳時記的な季語の感覚で入れたそうですが、これだとどう見ても梅まつり会場にピザを届けたという句になってしまうのと、梅まつりがほとんど主題になってしまうので、別の時候をあらわす語に代えたほうが良いでしょう。

 

ただ、梅まつりにピザを届けたという句としてなら良い句です。そのまま残しておくと十年後くらいに梅まつりのときのピザは美味しかったという記憶の改竄が発生するかもしれないので、長い目で観察していきたいと思います。

 

 

 

 白あえや白と緑の春日和 九

 和え物は緑に白に春の味 慧

 雪を割り咲く花もあり昼の酒 史織

 

私の作っていった菜の花の白和えの句です。九さんと慧さんの句は写生句なので似ています。

「あえる」は「和える」なので九さんが締めに日和をもってきたのは面白いところです。一方、慧さんが「白和え」と書くと白が重複するので「和え物」と言い換えたのも進歩を感じます。

私の句は「でも菜の花ってつぼみを食べるから咲いてはいないよね」とつっこまれました。それはそうですね。

 

このほかにもアボカドのサラダやレバーの赤ワイン煮などのご馳走がありました。

どれも美味しかったです。

 

 

 

 

デザートはピエールさんの持ってきたチョコレートケーキと、いちごのあまおうです。

 

 かあかと

 まるい

 おしりに

 うかれぎみ 葩

 

 

 以上、新年最初の句会でした。今年もよろしくお願いします。

 

 

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