7/10 吟行 〜巣鴨から都電で王子まで〜

 

 

 

 

七月は巣鴨で吟行でした。集まってまず洋食の「タカセ」でお食事。

ここは昔ながらのレストランですが、思いのほか量が多かったのに皆さんびっくりしてました。鮭フライが分厚くて美味しかったです。その後、地蔵通り商店街をひやかしながら、お土産を買ったり……。

 

 

 

 

この日はテーマとして何か買ってみて、それを題材に詠んでみることを提案しました。

並んでいるものの中から何かを買うというのは不思議なもので、他の人から見たら何でもないようなものでも、その人にとってはこれ! という何かがあって、そのとき、ものと人が通じ合います。それは俳句を詠むということの本質に近く、それを句にするということは、その時それを選んだ自分自身を留めるということでもあります。

 

その後、都電に乗って王子の飛鳥山に移動しました。酷暑でしたが木陰は涼が取れます。線路沿いは名残りの紫陽花が咲いており、退色することでおぼろな風情をかもしていました。

 

 

 

飛鳥山の茶店でかき氷を頂いた後で、北とぴあの展望台で句を作ります。巻頭の写真はそこから撮ったものですが、視界の開けた場所でぼうっとしているといつもより深い集中が訪れ、気がつくとあっというまに夕方になっていました。

 

 

◆慧

立ちつくす水かけ地蔵のたおやかさ

緑濃き風が走るよ窓の外

 

評:一句目はとげぬき地蔵での句、二句目は都電からの景色を詠んだものです。どちらも素直な良い句です。

後であれは水かけ地蔵ではなく水洗い観音だったのだが、字余りになってしまう、という相談を受けました。

 

たおやかに水洗い観音立ちつくす

 

ではどうかと案を出させていただきました。「かんのん」の「ん」は発音した場合は感覚的には1文字ではなく0.3文字くらいなのでこの字余りは気になりません。

 

 

◆葩

飛鳥山氷あずきで夏開く

初蝉やみどりの山にファンファーレ

 

評:一句目は今日を特別な日と捉えて記念的に留める句です。二句目はちょっとふわっとしてます。

ファンファーレは管楽器で蝉の声はあまりそう聞こえないのですが、夏が始まったぞ、という感じが表したかったそうなので「みどりの山のプレリュード」ではどうでしょうか。

 

「みどり」をひらがな表記するとあどけない素直さが強調されるのですが、そうすると「初蝉や」の重さ、いかにも俳句、という感じが逆に浮くので、個人的には漢字で良いと思います。

 

 

◆九

母もふれたか水洗い観音のそのほほを

黒蝶やガクアジサイの上を飛ぶ

 

評:一句目はお母さまが巣鴨にゆかりがあったということで、それを偲ぶ句で情感に溢れています。二句目、その情景が目に残ったのはとても良く分かりますが、ちょっと写実的すぎてそっけないかもしれません。

 

黒蝶やガクアジサイを飛び越えて

 

だと、少し余韻とその先の蝶の行方にも含みが生まれます。

 

 

◆夢坊人

ドリアンの臭い残してバンコック

誰のせる黄泉の国への紙の船

 

評:一句目、巣鴨商店街の始まりの方には二つ青果店があり、ここはいつでもちょっと珍しい南国の果物を商っています。そこの臭いからバンコクを幻視するという句です。巣鴨は4、14、24日に来ると道の両脇に屋台が並び四の日の市が立つのですが、そのとき来ればなおタイの気分が味わえます。

二句目はお盆の風習でしょうか。夏の暑いさかり命が沸き立つ中で、不意に死を思うというのは不思議と誰もが経験しているように感じます。

 

私も二句。

 

紫陽花の名残り優しき飛鳥山

いつか見た雲路の果てのブルーハワイ

 

実際に食べたのは氷いちごでしたが、後から来たおじさんがブルーハワイを食べているのを見てその鮮やかさに目を奪われました。極楽浄土というと西方の阿弥陀如来の浄土が有名ですが、南方には弥勒菩薩の浄土があるといいます。南の浄土、それはずばり、ハワイとかではないでしょうか。

かき氷の中に永遠にたどり着けない楽園、心のハワイを見出したような気がします。

 

次回の吟行は8月28日に相模湖の近くにある慧さんの別荘にお邪魔する予定です。

 

 

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