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11/19 駒場吟行

 

11月は駒場東大前駅に吟行に行きました。

 

葩さんが遅れるので、まずは駅前の喫茶店で時間調整。

日本人形がたくさんあるお店でした。

 

 

今日の主な見どころは日本民藝館です。

民藝運動は茶器を上手物(うわてもの)とすると生活に使われる雑器、下手物(げてもの)にこそ「用の美」がある、という思想で、何気ない日常の中から俳味を見出す俳句と似たものです。

今回は俳句のトレーニングとして器をみたとき、自分なら何を盛り付けるか、とイメージしてもらいました。

 

短歌は小説的な物語性がありますが、俳句は「誰がどうしてこうしました」という文章になりすぎるとつまらないので、ちょっとイメージが飛躍したほうが面白くなります。柿と法隆寺というようなマッチングの妙は、料理や花を器にレイアウトする感覚とも似ています。

 

民藝館は撮影禁止なので写真はないですが、玄関に野良猫がいてお出迎えしてくれましたので記念撮影。とても人懐こい。

 

 

その後、東大の構内にあるレストラン、「ルヴェ ソン ヴェール駒場」でランチを。

1000円で本格的なフレンチがいただけます。

 

 

そのあと、旧加賀藩主前田侯爵邸を見に行きました。

俳句を作るのによい環境です。

 

 

洋館は入れませんでしたが、園庭で句作。ピエールさんの後ろ姿の哀愁。

 

 

では句を見ていきましょう。

 

◆ピエール

 

天使舞う青い角瓶赤い酒

冷える碧瓶の角持ちウイスキー

餌足りて鯉は昇らず瀧寂し

雨溜めた窓外の瓶太太し

 

一句目、民藝館にあった天女の模様の瓶を天使と見立て、ワインを注いだ様子を想像しています。

最初に説明した今日のテーマに正面から取り組んでくれた句です。

最後の句は、ガラスケースの中の美術品然とした瓶(かめ)ではなく、外に置いてある水を湛えた瓶の「現役」の存在感に着目しており、民藝のテーマの本質に迫っています。

 

◆慧

 

木喰きのやさしき笑顔にいやされて

白地皿主張をせずに脇役に

ぼた餅をごろりとのせたい庄司の皿

 

一句目は木食仏の微笑を詠んだ句です。素直な句です。

初期の会で『一日一菓』という写真集を俳句の勉強になると見せたことがあるのですが、二、三句目はそれを彷彿とさせます。

器自体はキャンバス的な性質をもっており、和菓子、くだものを置くことで完成するともいえます。

そうした見方があるんだ、と知るだけでも句の幅が広がるのではないでしょうか。

 

◆夢坊人

 

紅葉はまだ早いと日が暮れる

あの時代を想い出すねと元闘士

 

二句目、東大ですれ違ったグループが学生運動の思い出を話していたのを詠んだ句です。

夢坊人さんも世代で、今も福島での放射能測定ボランティアなど、理不尽な世の中をよりよくするために戦っています。この言葉がどのように夢坊人さんの中で響き、受け止められたのかは若年の私には想像しきれませんが、題材の選び方が非常に夢坊人さんらしいな、と思いました。

 

 

◆九

 

庭の甕風雨にさらされ水を張り

黒羽蟻透きとおる羽微動せず

民藝館白掛蓋壺が座りけり

 

一句目はピエールさんと同じ着眼点です。

二句目は加賀藩主邸で目の前でぽとりと死んだ虫の句ですが、不思議と嫌悪感なく美しい死骸でした。あのときの夕方の青に染まっていく畳、すっと冷えていく空気の独特さを完全に切り取れたなら凄い句になると思います。

三句目も、今日の主題である「器に何を入れるのか?」という問いに「自分が入りたい骨壺をさがしていました」と言った九さんの笑顔を知って読むと凄い句なのですが、句単体だとその凄味が伝わりません。

今回は着眼点がすごく良いのを完全に生かしきれない部分があったと思います。いつかスッと自然と出てくるときがあると思うので「静かで美しい死」というテーマは、また機会があれば詠んでみてください。

 

◆葩

 

 

室町の皿にこころで菜を盛る

絵馬いとし賭け事絶ちを願う人

晩秋のベンチに人が二、三人

秋ならば秋の風受く野良の壺

半島の紅(あか)のびやかに花鳥図絵

 

当会では季語の指導はしていないのですが連作として並べてみるとかなり秋の季節感を捉えています。

当日、句が出来ず、推敲を繰り返しただけにかなり練りこまれた完成度の高い句です。「野良の壺」の句が一番佳く感じました。

「花鳥図絵」は音読みがやや硬いので「花鳥の図」とか間に平仮名を入れてもよいかもしれません。

 

私も二句。

 

外套の背中寂しき秋の庭

銀杏溢る連れ帰りたき猫がいて

 

次回は年明け以降になるかもしれません。ご参加ありがとうございました。

 

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