6/18 ギャラリー双句会

 

だいぶ間が空きました。

 

六月は梅雨でなかなか吟行もいけないだろうということで「雨」をテーマに句を作り持ち寄るという形で句会を開きました。

しかし六月は思ったほど雨が降らず、七月になってから雨続きになってしまいました。

 

◆慧

 

我一人静かにおりる雨音を聴く

 

雨の雫苔の粒子も芽吹くかな

 

石が映え緑が映える文月の雨

 

滲むる雨屹っと立つかな紀元杉

 

雨の中屋久杉立つよ鹿跳ねる

 

屋久杉に篠つく雨が降りそそぐ

 

雨、石、緑の色彩的なのイメージが鮮やかな句です。

また、音や匂いなど生理的な感覚にも訴えかけてきます。

ちょっと気になるところとしては「紀元杉」というものがどんな杉なのか、が知らない人には伝わらないこと。

あと、鹿の句は屋久杉と鹿の取り合わせで既に完結した世界になっているので雨が付け足しになってしまっているところです。

切れ字も「よ」以外の方が締まるかもしれません。

 

 

◆夢坊人

 

雨のなか歩く子らは広重か

 

すぐそこと傘もささずに走り出す

 

夜明け前静けさの中に雨を聞く

 

雨上がり田んぼの上を蛍舞う

 

歩く、走る、舞うといった躍動感があります。

また、広重の浮世絵への見立ても独特の着眼点で、夢坊人さんらしさが出ていると思います。

「に」「を」といった接続詞は、ないと意味が伝わらないのでは、と不安になるかもしれませんが、あまり説明的になると句というよりは短文になってしまうので、思い切って省いてしまった方がすっきりするかもしれません。

 

 

◆葩

 

(母の白内障手術を終えて)

 

新しき目にて数える雨の粒

 

縦横に落ちる雫を追う瞳

 

傘閉じて墨絵の園のしずけさを

 

前半二つは似た様子の句ですが一つ目の方が良いです。

少ない言葉の中に安堵や喜び、お母様に対するまなざしの柔らかさが表れています。

挨拶句としても、単立の句としても鑑賞できる懐の深さがあります。

 

 

◆九

 

梅雨寒や羽根ふくらます鳩一羽

 

雨の日にラッキョウ漬ける亭主かな

 

あじさいを梅雨の滴と思ひけり

 

しとしとと雨の幻恋飛脚

 

傘もなし傘をさす人無人駅

 

白色の雨の一日二輪草

 

ちょっと驚くほど俳句らしい俳句になっており、劇的な進化です。

テレビの俳句添削を見て勉強したそうですが、如実に影響を感じます。

「恋飛脚」は歌舞伎の演目だそうですが雨のシーンはなく、しかし観ているときに雨のイメージが二重写しになったということで、イマジネーションの豊かさが素晴らしいと思います。

ラッキョウの句は以前の「君の背で大根の葉が風に揺れ」と同じ恋の句で、さりげない日常の一コマを大切にしている夫婦愛を感じました。

無人駅の句はちょっとわかりづらくなってしまっていますが、傘のある人とない人が混在している情景を描きたかったということで、葩さんから「傘の人傘のない人無人駅」ではどうか、という案をいただきました。

 

 

私も二句。

 

苔すべる露の珠追うカエルの子

 

幾何学の団地は影絵鉄の雨

 

 

発表後、せっかくなので、ほかの人の句から何か一つワードをもらい、それをモチーフに一句作る、ということもしました。

 

 

「鹿」→鹿追いて不意に一人の草迷宮 史織

 

「影絵」→わんわんと影絵の犬に励まされ 葩

 

「墨絵」→雨の雫たらし込んだら墨の絵が 慧

 

「カエル」→森の中泡から一滴カエルの子 夢坊人

 

「幾何学」→幾何学の帯しめて舞う歌舞伎者 九

 

 

どれも元の句から飛躍して別のイメージになっていくのが面白いところです。

こうした即興性の遊びもまた俳句の面白さだと思います。

 

 

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