8/28 相模湖句会

 
八月は「ギャラリー双」の主人である慧さんの別荘にお邪魔しました。
不思議なものが沢山あり、それが景色や部屋の佇まいに調和して、居心地の良い空間を作っていました。
 
 
まずは食事ということで、おのおのが持ってきたものを並べます。
メインは夢坊人さんの作る鯛のアクアパッツァです。
 
  
 
食後はお部屋を案内してもらったり、近くを散歩したりしました。
ゆっくりとした時間を過ごした後、この日の句を作りました。
 
 
◆慧
 
山 山 山 山が笑うよ夏の句会
深き川流れし水よ色を変え
 
評:雄大な景色は自分を小さなものと相対化し、同時に自然の一部であるとも気づかせてくれます。山が笑っていると感じたとき、それは自分と山の境界がなくなっている時でしょう。こうした自我を超える瞬間が俳句の醍醐味です。
二句めは雨で増水し濁った相模川の様子を詠んでいます。ただちょっと、「川」と「流れし水」は語義が重なっているので、もう少しタイトな表現があるかもしれません。
 
◆葩
  
バンダナで立ち話する郵便夫
懐かしき夏の匂いよ桂橋
 
散歩中に出会った郵便配達のおじさんの句です。坂の勾配がきついので大変なお仕事でしょうが、都会と違い道行く人と語らうようなのんびりとした様子もありました(不審者の集団と思われて警戒されていたのかもしれませんが……)。
後に提出しなかった句で、
 
行く夏やさるのこしかけに合掌す
あの山の景色の中に立っている
 
の二句をメールで頂きましたが、こちらの方が良いと思いました。「さるのこしかけ」は神社で見たキノコからの連想ですが、さくらももこのエッセイのタイトルでもあり、故人に思いを寄せた句です。
 
◆九
 
プチプチとドングリ踏むや相模川
山ぼうしオレンジの実は苦い味
 
一句目、切れ字の「や」は俳句らしくなりすぎてしまうので、てらわず「ドングリを踏む相模川」が素直で良いかと思います。
二句めはちょっと元の句意から離れるかもしれませんが、私なら…ということで、
 
未だ熟れぬ山ぼうし噛めば苦き夏
 
とする例を示しました。
 
◆夢坊人
 
山むこう観覧車を望む家
人気無しやまゆり園に蝉の声
 
やまゆり園は相模原連続殺傷事件のあった施設で、慧さんの別荘から程近い所です。二句めはそれに対する哀悼の句です。
昨今、議員が同性愛者には生産性がないと失言したり、命を効率主義で計るような意見を耳にします。しかし俳諧は徘徊に通ずというか、ブラブラしている、何もしていないということに価値があるというようなことを旨としています。だからこそ声なき声や、人の見落としてしまうような小さなこと、小さなものに自分を託して句にすることもできます。
 
◆ピエール
 
黒アゲハ街よりちょっとどやり顔
黄河かよ嵐のあとの相模川
 
評:山ではキノコや虫などもサイズが大きかったのを覚えています。そういう意味ではどちらの句も自然の大きさ、スケールを詠んだ句と言えます。慧さんも着眼してましたが本当に黄河やアマゾン川のような景色でした。「や」「かな」といった定型的な切れ字を使わず「黄河かよ」とつっこんだ所にピエールさんらしさが出ていて面白いですね。
 
私は一句だけ
 
稜線が白に溶けゆく午後の茶事
 
ゆったりとした時間を過ごさせてもらいました。慧さんありがとうございます。
 
 
 

JUGEMテーマ:俳句